徒然なるままに、日ぐらし、硯に向かいて・・・、有名な「徒然草」の冒頭にも出てくる硯は、書道愛好家たちやコレクターの間で大変重宝されています。オークションに出せば、10万円以上の値が付くものや物によっては100万円を超えるものもあります。

特に中国の広東省肇慶(ちょうけい)や日本の山梨県鰍沢(かじかざわ)で採れる石で造られた硯は大変貴重で、今でも多くの書道愛好家に愛され、高値で取り引きされています。もしかするとそのような希少な石で造られたお宝が家の中に眠っているかもしれませんよ。

硯の買取実績

日本の名硯として名高い山梨県鰍沢の雨畑硯。製硯の名家雨宮家11代目静軒が造った硯を買い取らせていただきました。それはもう今ではなかなか採掘されない極上の石材で造られた特別なものでした。とても手触りが良く、ずっと撫でていたいと思ってしまうほどの逸品です。

端正な風字形に当時の唐物流行を反映してか、饕餮(とうてつ)文が彫られており、11代の初期作品、大正時代のものと思われます。造られてから既に100年は経過しているはずの硯ですが、シンプルかつモダンなデザインは、今でも十分の精錬さと新鮮さを感じさせてくれるものでした。

半永久的に使える硯は非常に価値が高い

書道道具の筆・墨・硯・紙は文房四宝と呼ばれることがあります。そのほとんどは消耗品ですが、硯は壊れさえしなけえば半永久的に使えます。

ある特定の地域で採れる石は硯を造るのに大変適しており、それらの石によって生み出された硯には一種独特のオーラや佇まいがあり、見る者、触れる者、使う者を魅了してやみません。

希少価値の高い名硯とは?

当初、硯は陶器で造られており、陶硯(とうけん)と呼ばれていました。中国の唐の時代に陶器の代わりに石で硯が造られるようになりました。それ以降、石硯(せきけん)が主流となっています。硯は使われる石によってその価値が決まると言っても過言ではありません、出来栄えにも大きく影響します。

多くの人に愛され、今でも名硯と言われる硯を5つご紹介いたします。

端渓硯(たんけいけん)

中国の広東省広州近くの肇慶(ちょうけい)で採れる石で造られています。採石坑ごとに品質の違いがあり、一番価値が高いのは老坑と呼ばれる場所から採掘された石です。ほかにも坑仔巌、麻仔坑と言われる坑から採れた石も高級とされています。その石で造られた硯は硯好きにはたまらない一品です。

歙州硯(きゅうじょうけん)

これも中国の石を原産とする硯です。安徽(あんき)省歙(きゅう)県で採れる石を使っており、端渓硯と並び名硯とされています。磨墨(するすみ)・発墨(はつぼく)ともに質がよく、叩くと金属音のような高い音を出すのが特徴です。

雨畑硯(あめはたすずり)

山梨県南巨摩郡で採れる石で造られています。特に有名なのが「雨端硯」。鰍沢にある硯造り300年の歴史を持つ雨宮家の硯です。雨端硯は富士川沿いで採れる玄晶石という石を使っています。玄晶石は泥岩が圧縮されたもので粘りと硬さがあり、墨を磨るのに適しています。

雨畑硯には早川町で採れる雨畑真石と呼ばれる石で造られた硯もあります。

赤間硯(あかますずり)

山形県宇部市で採れる石で造られた硯です。その歴史は非常に古く、鎌倉時代からあったとされています。硯は黒というイメージがありますが、赤間硯は赤みがかった茶色もしくは赤紫色です。墨を磨るのに重要な鋒鋩(ほうぼう)が多く、磨墨・発墨が良いとされています。また彫刻がしやすいという特徴もあり、芸術的な硯が多くあります。

雄勝硯(おがつすずり)

宮城県石巻市で採れる石で造られた硯です。雄勝硯も非常に長い歴史があり、その始まりは室町時代と言われています。光沢のある黒が魅力です。また水を通しにくいという特性があり、そのため年月が経っても劣化や変質の影響を受けにくいという特徴があります。硯造りは2011年の東日本大震災で大きな打撃を受けてしまいましたが、今また生産が再開されています。

戦前期の硯が特に貴重

日本において特に貴重な希少価値の高い硯があります。それは第二次世界大戦前に中国から日本に持ち帰られた唐硯(中国産の硯)です。時代でいくと明治~大正、昭和初期になります。この時期の硯は大変数が少ないため価値が高いです。当時、お土産として中国から硯を持ち帰ってこられた方が身近におられないでしょうか。おじいさんやお知り合いの方などにお聞きになってみてください。

実家を片付けていたら、おじいさんが使っていた硯が出てきた、古いし捨ててしまおう・・・。お待ちください、その前にご連絡をお願いいたします。

硯の査定は無料

硯はパッと見ただけではその価値がピンとこないものです。弊社は専門業者として、お客様に必ずご満足していただける買取価格をご提案いたします。

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