以前、別荘の記事で洋食器ブランドとして人気のリチャードジノリについてお伝えしましたが、300年近くの歴史を持つジノリ。実は「倒産」という歴史も持っているんです。
そこで今回は、リチャードジノリの歴史と代表作について触れてみようと思います。まずは、その歴史から見ていきましょう!
リチャード・ジノリの価値についてはコチラの記事から
「別荘の残置物,不要品の査定,買取りについて」
ー目次ー
1.1700年代にカルロ・ジノリが創業したのがはじまり
リチャード・ジノリの歴史は、1735年にイタリア中部のトスカーナ大公国の要職にあったカルロ・ジノリ侯爵が、フィレンツェ近郊のドッチアにの磁器窯「ジノリ・ドッチア工場」(ドッチア窯、ジノリ窯)を創業したことから始まります。
1-1.「ベッキオホワイト」
当時のヨーロッパでは、王侯貴族にとって磁器は権力の象徴とされ、各国で陶磁器の開発製造に力を注いでいました。ドイツの「マイセン」、オーストリアの「アウガルテン」、そして「ジノリ」がヨーロッパで3番目の陶磁器メーカーとして誕生。
鉱物学にも造詣が深く、時代の流れを取り入れるセンスに長けたジノリ侯爵は、自ら原料土を発掘し、発色やペースト練りなどの研究を重ね、イタリア初となる白磁(はくじ)を完成させたのです。
その頃の代表作品が今もなお人気の高い「ベッキオホワイト」。映画『プリティ・ウーマン』にも登場していたという、あのお皿です。
1-2.「レッドコック」「グランデューカ」
初期の作品は型紙を使い単色での装飾でした。熟練した職人たち少なかったためですが、まもなくすると多色による花房や花束、バラ模様などが描かれ人気を博しました。
当時の代表作が「レッドコック(赤い雄鶏)」や「グランデューカ」です。この頃の作品は、食器というより、その美しさから装飾品として扱われていました。
1-3.「イタリアンフルーツ」「アンティックローズ」
カルロ侯爵が52歳の若さで他界すると、当時23歳だった長男・ロレンツォが後を継ぎ新工場を建設。土の研究・改良を加え、より白い磁器を完成させました。
「トスカーナの白い肌」と称賛され、磁器メーカーとして不動の位置を確立したのもこの時期。当時の代表作が「イタリアンフルーツ」「アンティックローズ」です。
1-4.「インペロシェイプ]
1801年には、最初の直営店をフィレンツェにOPEN。当時流行していたネオクラシック様式を取り入れた作品「インペロシェイプ」が誕生。イタリア語で「帝国」を意味しています。
この頃は、装飾品から実用品への移行時期で、ローマ皇帝フランツ2世やエジプト総督、マリー・ルイーズ(ナポレオンの妻)など数多くの皇族たちもこぞって愛用していました。
2.合併によりイタリア最大の陶磁器メーカーに
その後、ジノリは皇室御用達の磁器メーカーとして、華麗で芸術的な作品を数多く世に送り出しましたが、1896年、ミラノのリチャード陶磁器会社と合併し工場を譲渡することとなりました。
長男のロレンツォから、その息子のレオポルドへと5代にわたり受け継がれていったジノリ窯(ドッチア窯)。
2つの窯から始めたジノリ工場が、創業から130年以上経った1889年には15の窯と従業員数1000名を超える企業へと成長し、合併して「リチャードジノリ」となったことで、イタリア最大の陶磁器メーカーとなったのです。
3.グッチ(GUCCI)に買収され復活したジノリ
合併後、リチャードジノリは時代の最先端を行くデザイナーとコラボし、「伝統と革新」をテーマにした作品を数多く世に送り出しましたが、次第に経営はくるしくなり、2013年1月、裁判所から破産宣告を受けました。
その年の4月、リチャードジノリは1300万ユーロ、日本円にすると約16億円でグッチに買収され、「グッチリチャードジノリ」として復活。6月には、フィレンツェの直営1号店をリニューアルオープン。
2017年9月、グッチがブランド初のインテリアコレクションとして発表したのが「グッチ デコール(GUCCI DECOR)」。コレクションの中の陶器の多くを手掛けているのがリチャードジノリです。
3-1.リチャードジノリから「ジノリ1735」へ
「1735年にフィレンツェに誕生したその原点に立ち返り、伝統に裏打ちされた高品質のテーブルウェアやインテリアアイテムを提案し、現代にマッチしたグローバルなライフスタイルデザインブランド」
引用:新ブランド名ならびにブランドアイデンティティ:ジノリ1735|Richard Ginori Asia Pacific
合併から7年後の2020年9月、イタリアを代表する陶磁器メーカーとして愛されてきたリチャードジノリが、新ブランド名「ジノリ1735(GINORI 1735)」として生まれ変わったのです。
4.リチャードジノリの食器が愛される理由
リチャードジノリの歴史を見てきましたが、ジノリの食器が創業から300年近く愛され続けてきた理由を語るのに欠かせないのが「ベッキオホワイト」です。
4-1.最古にして最高の作品「ベッキオホワイト」
「ジノリ最古にして最高の作品」と言わしめるベッキオホワイト。その魅力は、日常使いにぴったりはまる「親しみやすさ」と手になじむ「軽やかさ」。
特別感にはやや欠けるけど、テーブルの上にいくつも並ぶと少しだけオシャレで優雅な雰囲気を漂わせてくれるー。
〝主張しすぎない魅力〟とでもいうのでしょうか。まるで主役を引き立てる名脇役のような存在なのかもしれませんね。
なんだから、ベッキオホワイトのデミタスカップでエスプレッソを飲みたくなってきました・・・(笑)。
5.来客用の食器を日常使いにしませんか?
今回はジノリについて書きましたが、皆さんのご自宅やご実家でも、ちょっとお高い食器を来客用に揃えているご家庭も少ないないですよね。
もちろん、飾って楽しむのならアリですが、退職祝に貰ったバカラのグラスや結婚祝いに貰ったウェッジウッドのティーカップなど、「勿体ないから使えない・・・」と仕舞い込んでいるのなら、是非、日常使いで楽しんでみてください。
5-1.眠っている食器類があったら出張買取の『池屋』へ
もし、ご自宅やご実家、使わなくなった別荘にこれらの食器があるようでしたら、『池屋』にご一報いただければ使ってくださる方への橋渡しをさせていただきます。
食器だけだと買取できる品物は少ないかも知れません。ただ、一見「こんなの価値あるの?」と思うような品物でも、
- 場数を踏んできた経験値
- 無駄のない個人営業
が強みの当店ですから、他社より質の高い買取ができる可能性が高くなります。
職人たちの魂が込められた食器たち。飾るも良し、使うも良し、買取に出すも良し。是非是非、日の目を見させてあげましょう!
和食器の魅力も奥が深いですよね。
「漆器」の価値・相場についてはコチラをご覧ください。
>>「輪島塗、うつわ、漆塗り、食器の価値・相場・買取りについて」
家具や家電など、別荘の残置物の処分については以下のページを参考にしてみてください。
>>「別荘の残置物,不要品の査定,買取りについて」