この記事をご覧いただきありがとうございます。

先ごろは弊店の記事を無許可で模倣(コピー、リライト)し、標本の知識が無いにもかかわらず標本買取を謳う後進の業者が見られますが、弊店では蝶標本、昆虫標本の買取を2008年から継続して実施しております。

この間扱わせていただいた標本はドイツ箱で4000箱前後、その中には廃棄の憂き目から買取評価をし、その後博物館に収蔵されたものや大学へ研究資料として納入したもの、また有名コレクター様へ橋渡しさせていただいた貴重な標本もありました。

こうして、思い入れのある標本コレクションを適正評価し買取りすることによって、ご依頼者様のお役に立つことは当然のことですが、弊店のこれまでの15年に渡る標本買取〜流通のノウハウを以って、微力ながら昆虫研究の学問や標本の世界に貢献をすることができたものと自負しております。

しかしそれは私一人の力では為し得ない事でした。昆虫、蝶の査定、取り扱い 及び市場評価といった、非常に専門性が高く難しい事柄をご教授、ご指導いただきました先生方に感謝を忘れず、これからも貴重な標本を救い出してまいります。

・標本に関する他の記事はこちらから

なぜ標本にするのか

 

・透明標本・標本瓶・ガラス瓶についてはこちらから

標本瓶の価値・相場・買取りについて

ー目次ー

1.蝶の標本とは

蝶は世界中に約2万種は存在すると言われており、その分類は複雑で、その収集は、まさに一生をかけて学ぶほど非常に奥の深い一つの学問でもあります。

1-1.蝶の収集には一生かけても完結しない奥深さがある

基本的には、蝶も他の動植物同様、以下のようなグループに分類されます。

界(かい)・・・動物界、植物界など
門(もん)・・・脊椎動物門、節足動物門など
綱(こう)・・・哺乳網、両性網、爬虫網など
目(もく)・・・サル目、有隣目、単孔目など
科(か)・・・ヒト科、イネ科、キク科など
属(ぞく)・・・ヒト属、イヌ属、イネ属など
種(しゅ)・・・普段使われている呼称

ただし、蝶の場合、明確な定義はなく、基本の分類以外に「亜種」や「季節型」として分類する学者もいます。

・生息する地域により分類される「亜種」

種までは同じであっても、棲息する地域によって模様や形が異なるグループを形成する種類があります。これを「亜種」として分類されることもありますが、亜種そのものを認めていない学者もいて素人の方には区別がつきにくい限りです。

亜種として分かりやすい例が「ルリモンアゲハ」で、写真左から台湾産、スマトラ島産、ジャワ島産となり、翅の模様が違っています。

・羽化する季節により分類される「季節型」

さらに、世代交代を繰り返すことで羽化する季節によって特徴の異なる種もあります。春に成虫になるものを春型、夏以降に成虫になるものを秋型というように、季節型」として分類されることもあります。

季節型の代表的な蝶が「サカハチチョウ」で、左の写真が春型のオスとメス、右の写真が夏型のオスとメスです。

こちらは北海道にしか生息しない「アカマダラ」ですが、ご覧のとおり季節によって全く違う蝶に見えますよね。

・現在も続く新たな種の発見

そして、現在においても新たな種の蝶の発見は続いており、これをはじめに見いだし、学名に自分の名が冠せられることは収集家、研究者にとって憧れと言えるでしょう。

このことからもわかるように、蝶の収集、またその標本のコレクションという趣味は一生かけても完結することはできないほどの奥深さという魅了があるものです。

1-2.“生きる宝石”として一定の市場を形成

また、生きる宝石と評されるように、蝶や昆虫の持つ天然の色彩美や造形美は、どんなにすぐれた作家の作る美術品をもしのぐ美しさを持っています。

・趣味を極め娯楽を遊びつくした人たちに好まれる蝶の収集

そうした美しさ、奥深さから、古くから昆虫や蝶などの採集や標本収集という趣味は、あらゆる趣味を極め娯楽を遊びつくした人たちに好まれる趣味活動であり続けています。

財力をかけて世界中から希少な蝶の標本を収集したり、または自ら採集や研究に没頭し、資産と時間を費やす方々もおられます。

このような「標本」の世界ですが、本場であるヨーロッパやアメリカとは規模の面で比べ物にはなりませんが、ここ日本でも古くから多くのファンが存在し、一定の市場が形成されています。

2.どんな標本が買取り対象になるのか?

では、次にどんな標本が買取の対象になるのか見ていきましょう。

2-1.良い状態で保管されている標本

日本の場合 季節により気温差が激しく、また多雨多湿であるため、本場ヨーロッパや北米とは異なり、蝶や昆虫標本を保管するのには適していない地域がほとんどです。

湿気は標本にとって大敵であり、適切に管理されずに湿気に晒されてしまった標本は形が崩れ、カビがついてしまいその価値が台無しになってしまいます。

またしっかりと密閉されていない状況や、防虫剤などの対策をせずに保管していると、標本が虫に食われてしまうことがあります。

このようなことから、適切に保管するには、高品質な木材と高い製造技術で製造された、密閉性の高い専用の保管箱に保管し、さらに乾燥剤や防虫剤を、その効果を維持するため、定期的に交換することも必要です。防虫剤の強い匂いは避けられませんが綺麗に維持管理するには必要なです

このように、たくさんの標本を管理し続けるのはとても大変なことなのです。

・国産のドイツ箱は品質が高く保管状態も良いものが多い

そのような保管箱、ドイツ箱と言いますが、品質の高い国産のドイツ箱で保管されている標本は密閉性も高く、良い状態に保たれていることが多いですので、買い取り対象になりやすい傾向があります。

・桐の箱は一時的な保管箱にすぎない

一方、よく見られる、桐の白木でできた簡素な箱は「インロー箱」と言います。これは、あくまで一時的な保管箱であり、長期間保管するように設計されたものではありません。やはり買取の対象となるのは、ドイツ箱のように密閉性を念頭に置き設計された専用の箱で保管されている標本になります。

2-2.採集場所などが記されたラベルの有無

そして、最も重要なのは、「ラベルデータ」の有無です。

書式様式は問いませんが、

  • 詳しい採集場所
  • 採集年月日
  • 採集者、コレクター名

を記したラベルデータが各個体に備わっていることが重要で、そのようなラベルがついていないものは有用な「標本」とみなすことはできません。

・ラベルが無くても価値のある標本もある

しかし、ラベルのない標本は全く無価値かと言うとそうではありません。

南米産などの華美な姿をした蝶は、その美しさに価値を見出し、額装するなどしてインテリアとして活用する、といった需要がありますので、評価することができます。

2-3.希少産地の蝶の標本なら買取の対象になることも

また、買取りの評価は標本自体の希少性に左右されます。その辺に居る蝶々やトンボを捕まえて標本にすることは、夏休みの小学生でもやっていることであり、珍しくない蝶にお金を出して欲しがる人はいません。

一方、世界中を旅して山深く分け入り、危険な高山を登り、命の危険も顧みず政情不安定や治安の悪い国々に出入りしてまで希少産地の蝶を採集する採集人も居ます。そういったところから手に入れた標本は、当然 その辺の標本よりも価値あるものでしょう。

その希少性の判断をするのが、他業者がいくらGoogleで検索しても追いつかれない情報量と経験値を持つ当店の仕事です。

3.手放す際に注意しなければならないこと

いざ、蝶の標本を買い取ってもらおうとなった段階で、注意しなければならないことがあります。

3-1.保存法により譲渡が禁じられている蝶もある

ワシントン条約、また国内では種の保存法といった法律によって指定されている種の標本に関しては、有償無償にかかわらずそれを陳列、譲渡することが禁じられており、それに違反した場合、罰則があります。

また、地域を限定された採集禁止種、指定種は年々追加されていますので、常に最新の情報を得、正確に見極めることが重要です。

・種の保存法により譲渡が禁止されている蝶

種の保存法の正式名は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」と言いますが、この保存法により、以下の蝶は一例ですが採取や譲渡が原則として禁止されています。

  • オガサワラシジミ
  • ゴマシジミ関東・中部亜種
  • ヒョウモンモドキ
  • ウスイロヒョウモンモドキ
  • アサマシジミ北海道亜種
  • ゴイシツバメシジミ

・違反すれば懲役1年以下または100万円以下の罰金!

では、種の保存法で指定された蝶を譲渡した場合、どのような罰則があるのでしょうか?
以下のような行為をした者には、懲役1年以下または100万円以下の罰金が科せられます。

  • 譲渡し等が禁止されている希少野生動植物種の個体等を譲渡し若しくは譲受け等した者(第12条第1項)
  • 特定国内希少野生動植物種以外の国内希少野生動植物種の個体等を輸出入した者(第15条第1項)
  • 譲り渡し等許可者に対する措置命令(第14条)、外為法の規定に基づく規程に従わず輸入したもの、またそれを受け取ったものが、その個体等の返送等命令に違反した者(第16条)

出典:「希少野生生物の国内流通管理に関する点検会議第1回会合

また、アゲハチョウ科の場合、翅を使った装身具や調度品なども譲渡すれば法律違反となりますので注意が必要です。

3-2.判断が難しい標本の世界だけに熟練の買取業者を選ぶことが重要

そのような標本は手放すに際しては判断が難しいところで、買取りとなると特殊な見極めが必要ですので、どの業者でもよいというわけにはいきません。

当店は標本の業界にも繋がりが深く、標本の買取りに熟練しているため適切に価値を判断し、買取りや処分方法などお伝えすることができます。

4.蝶の標本の査定・買取りの流れ

出張買取の池屋で買い取った蝶の標本の画像

当店で買取りした非常に状態の良い蝶の標本

基本的に、ドイツ箱に入った状態の標本・三角紙に封入された標本が買取りの対象になります。内容、数量、エリアによって、買取、引き取りの可否、出張対応 または宅配対応の判断をさせていただきます。

査定をご希望の場合、まずは標本の画像を数枚送っていただければ幸いです。

お問い合わせフォームからですと、画像のサイズをかなり小さく調整しないと載せられない場合がありますので、下記のメールアドレスに直接お送りいただければ簡単です。

ragandbone01@gmail.com 

※返信のために、迷惑メールフィルタの設定を確認していただきますようにお願い致します。

標本を手放される際に、この記事がお眼に留まりますように。

>>買取品目はコチラから
>>無料査定のご依頼・お問い合わせはコチラから