ー目次ー
1.祖母の思い出が詰まった家の整理に
祖母が亡くなって2年が経ちました。
実家が商家だったこともありお嬢様として育った祖母。若い頃は、まるで漫画『はいからさんが通る』に出てくるようなファッションを身にまとい、女学校に通っていたそうです。
祖父の仕事の関係で海外出張に何度も同行したこともあり、日常会話程度なら英語が話せ、お料理も得意で私たち孫が遊びに行くと、マドレーヌやクッキーを焼いて待っていてくれる。そんな自慢の祖母でした。
祖母の名前が「千恵子」だったからか、小さい頃から祖母のことを「ちゃーちゃん」と呼んでいました。私は祖母の名前から一文字もらい「多恵」と名付けられました。「多くの恵みを与えられる子に育つように」という願いを込め、祖父が付けてくれたそうです。
祖父は私が3歳の時に亡くなったのであまり記憶にはないのですが、祖母はよく祖父のことを懐かしそうに、そして嬉しそうに話していました。そんな祖母を見ていると、子供心に幸せな気持ちに満たされたものです。
2.足踏みミシンで洋服を作ってくれた祖母
そんな祖母の思い出が詰まった家を取り壊すことになり、子供たちと一緒に荷物の整理をしに行きました。
祖母の部屋に入ると、目に飛び込んできたのは古ぼけた足踏みミシンです。裁縫が得意な祖母は、私にもよく洋服を作ってくれました。学校が休みになると必ずといっていいほど、祖母の家に遊びに行っていた私。
母が働いていたこともあり、夏休みはずっと祖母の家で過ごしていました。『魔法使いサリー』や『ひみつのアッコちゃん』といったアニメの主人公が着ている服が欲しいと祖母にねだると、たいがいは2~3日もすれば出来上がります。祖母は早く私を喜ばせたかったのでしょう。夜遅くまでミシンを踏んでいました。
3.料理好きな祖母が集めた食器たち
料理上手な祖母は食器を集めるのが好きで、台所にはたくさんの食器がありました。私には器の価値は分かりませんが、このまま捨ててしまうのは惜しいので、家で使えそうなモノをいくつか持ち帰ることにしました。
私はあまり料理は得意ではありませんが、祖母がよく作ってくれた煮物の味を思い出しながら作ってみようかと思います。そして、この器に盛り、大好きだった祖母を懐かしもうかなぁ・・・と。
今年の春、結婚したばかりの娘は、祖母と祖父が使っていたお揃いのコーヒーカップを、旦那さんと使うんだと言って嬉しそうに持って帰りました。
4.かすかな葉巻の香りで蘇る祖父との思い出
祖父が生前使っていた書斎に入ると、かすかに葉巻の香りがしました。亡くなってもう40年近く経つのに、その部屋に入った途端、祖父との記憶が蘇ってきたんです。
おいしそうに葉巻をくゆらす祖父に、物心がつき始めた私はこんな質問をしました。
私:じぃーじ、たーちゃん(私)もしょれほちい(それ欲しい)。
祖父:これかい?
私:しょー。
祖父:たーちゃんが大人になったらあげるよ。
もらえないと分かって大泣きする私。そんな私をやさしく見つめる祖父。
祖父との思い出などないとばかり思っていたのに、かすかな葉巻の香りをかぐことで記憶が鮮明に蘇ったのでしょう。何とも言えない幸せな気持ちになりました。
5.祖父が大切にしていた壺やオブジェ、蓄音機など
祖父が亡くなった後も、祖母はまるで祖父が生きているかのように、祖父の書斎をいつもキレイにしていました。夏休みのある日、いつもは台所で料理をしているか自分の部屋で針仕事をしている祖母の姿が見当たらず家の中を探すと、祖母は書斎のソファーでうたた寝をしていました。
祖母を起こそうと近づくと祖母の目には涙の跡があり、子供心にそっとしておいてあげようと思ったのでしょう。リビングでひとりテレビを見ながら、祖母が用意してくれていたおやつを食べている光景が鮮やかに蘇ってきました。
書斎には、祖父の趣味を感じさせてくれる壺やオブジェがありました。時代を感じさせてくれるアンティークな蓄音機もあります。どれもかなり埃をかぶっていますが捨てるには勿体ない物ばかりです。
6.祖母の思い出の品を、必要としてくれる人へ
「お母さ~ん、こっちは終わったよ~」
娘の声で時計を見ると、荷物を整理し始めて5時間が経っていました。
正直、もっとササっと終わるだろうと思っていました。ところが、実際に片付けを始めてみると、予想以上にひとつひとつの品物に思い出が詰まっていたんです。
80歳になる母は体調を崩し、今回は一緒に来ることはできませんでしたが、もし母がこの場に居たら、「どれも捨てられないわぁ・・」と嘆いていたことでしょう。
本当は形見としていくつか残し、後は業者さんに処分を頼むつもりでした。でも、実際に片付けてみるとまだまだ使える物が結構あります。祖父や祖母が大切に使っていた品物などは、捨てるには忍びなく思えてきました。
ただ、我が家は狭いので、それらをすべて持って帰るわけにもいきません。どうしようかと途方に暮れていると、「買取屋さんに頼んでみたら?」と娘が言いました。
「誰かが使ってくれたら、曾ばあちゃんも喜ぶんじゃない?」
娘にそう言われ、迷っていた気持ちがすっきりとしました。我が家では引き取れないモノたちが、別の誰かの手に渡り使ってもらえれば、モノを大切にしていた祖母も喜んでくれるでしょう。
たくさんの業者さんがいる中で、幸い、良い業者さんに出会うことができて、いろいろなものを買い取ってもらえたのも祖母が引き寄せてくれたのかな、と思いました。
その業者さんは、意外な?というか、「骨董品、美術品、ブランド」などでは全然無い、それこそ祖母の古びたミシン椅子だったり、思いもよらない、嫁入り道具の古ーいお針箱だったりを、喜んで買い取っていきました。でも大きな桐箪笥は無理とのことでした。
業者さん選び。これはとっても大事なことなので、次の機会にお話しいたいと思います。
私には出張買取に頼むなどといった発想は全くなかったので、娘からのひと言で「全部ゴミとして処分されなくて、良かったぁ」とホッと胸をなでおろしました。
我が家ではもう使うことのないモノを、誰かが必要とし使ってくれる・・・。祖母の家の片付けは大変ではあったものの、幸せな気持ちにもなれる貴重なひと時でした。
天国のちゃーちゃん。
素敵な時間をありがとう!
大切な品物、少しでも買取させていただきたいと思っています。
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